冠動脈インターベンションが開始された当初からしばらくの間はバルーン冠動脈形成術であった。現在に比べより単純な病変が主体であったが、急性冠閉塞の発生率は3〜8%とされ急性心筋梗塞の発症や緊急バイパス手術を必要とすることもあった。慢性期再狭窄は40%ともいわれ、安全性・有効性ともに不十分なものといえた。 こうした弱点を克服するために冠動脈を内側から支えて急性冠閉塞を防止し、より広い内腔を確保することにより再狭窄を防ぐものとして、冠動脈ステント(bare metal stent;BMS)が開発され臨床応用された。とくに急性冠閉塞の原因となる急性冠解離に対しての有効性は高く急性冠閉塞の発生率は0‐0.5%へと劇的に改善した。ステントの使用により冠動脈インターベンションの安全性は大幅に改善し適応は広がった。遠隔期成績も改善したが、内膜増殖による慢性期再狭窄は20%程度の頻度で残存し、びまん性の再狭窄を繰り返す難治性の病態が存在した。 そこで、慢性期再狭窄の原因である新生内膜の増殖抑制を治療ターゲットとして薬剤溶出ステントが開発・臨床応用された。薬剤溶出ステントは再狭窄を劇的に改善し、発売後急速に普及した。2006年前半には全世界で使用率が70%を超え、冠動脈インターベンション(PCI)の中心的な道具となった。