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中村 元俊
【テーマ】 「PET−CT検査について」


【講演者】 放射線科 主任医長 中村 元俊


PETとは
 PET(Positron Emission Tomography)は体内に放射性物質を注入し、それが放出する放射線を画像としてとらえる核医学検査のひとつです。ブドウ糖によく似た物質に微量の放射性物質(サイクロトロンで製造したポジトロン核種)を加えた18F−FDG(フルオロデキシグルコース)という検査薬液を静脈注射し1時間後、薬剤が全身に分布した状態で撮影します。増殖スピードの速いがん細胞は、エネルギー源としてのブドウ糖を正常細胞の3〜8倍も取り込みます。PETではこの性質を利用しがん細胞へ取り込まれた18F−FDG(ブドウ糖類似物質)から放出される放射線をカメラで撮影してがんを発見します。
当院のサイクロトロン PET/CT装置  

当院のサイクロトロン

PET/CT装置

PET検査の有用性について
@良悪性の鑑別:FDG取り込みの定量化により、腫瘍が良性か悪性かの鑑別診断に役立つ場合あり。(一般的に腫瘍活性が高いと取り込みが強い)
A病期診断、治療方針決定−病巣の拡がり、転移の評価−サイズによっては当院放射線治療装置(ノバリス)との連携可。 PETを行なうことで治療方針変更が30%にも及ぶと言う報告あり。二重がんの発見にも有用。
B治療果判定:治療前後の集積程度の強さで評価。
C再発診断:特に術局所の形態変化が強い場合の検出に有用。
Dがん検診への応用:がん発見率は2%程と報告がありますが、万能な検査ではないので検診精度維持には超音波、MR、内視鏡、血液検査などを組み合わせることが重要。

PET検査の限界
 一般的にFDGの集積程度はがんの細胞密度・容積・腫瘍活性が大きいほど強いとされています。がん検出サイズは装置の性能限界などから通常は1cm以上とされますが、臓器表面に薄く広がるがんの描出は苦手です。
 時として炎症巣へのFDG集積が、がんとの鑑別を困難とし組織診にゆだねられる場合もあります。 検出の不得手ながんとして、1)高分化がん−肺、肝、2)胃−スキルスがん、3)各種粘液細胞がん、4)腎がん、膀胱がん、前立腺がんなどがあり他の画像診断や腫瘍マーカーとの比較が必要です。

PET/CTの有用性
 従来のPET単独検査では異常集積の部位および性状の判定に苦慮することが多々見られました。しかしCTを同時に撮影できる当院装置はこれら問題点の多くを解決し、腸管、尿路などの生理的集積部位との鑑別にも役立っています。また集積の乏しい病巣についてもCTにおける病巣検出能、質的診断能の恩恵を得ることが可能です。

□症例
 76歳 女性    諸検査で左肺がんが疑われPET/CT施行した際、回盲部に異常集積を指摘。
早期相 遅延相  

早期相

遅延相
 
PET/CT融合画像 回盲部に異常 大腸ファイバーで虫垂がんの診断  

PET/CT融合画像 回盲部に異常

大腸ファイバーで虫垂がんの診断
 

おわりに
 部位ごとではなく全身を一度に検査できるPET/CT検査は、検査時の苦痛がなく受検者にやさしい検査であり、がん診療には欠かせない検査ツールとしての地位を確立したように思われます。
 当院では2006年8月以来、放射線専門医/PET核医学認定医2名が、がんの早期発見から病期診断、治療効果判定、再発診断等において安全、迅速かつ的確な検査を提供できるよう日々努力しています。今後とも検査の適応と限界を正しくご理解いただき当院PET/CT検査をより一層ご利用いただきます様よろしくお願いいたします。
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